生パスタへのこだわり
当店のパスタはすべて自家製の生パスタPasta Frescaです。生パスタの本場、エミリア=ロマーニャ州でプリモ(パスタ)担当シェフを務めた経験を活かし、イタリア各地で作られるさまざまな生パスタをご提供しています。
大量生産と長期保存ができる乾燥パスタが、イタリア全土はもちろん世界中に普及したのとは異なり、生パスタはごく限られた地域だけで作られ、その土地ならではの具材やソースと組み合わせるものが多くあります。現地に行かないと食べられないその生パスタを、日本に居ながらにして味わっていただきたい、というのが当店のコンセプトです。
ランチおよびディナーでは、季節毎にテーマとなる州を入れ替え、イタリア20州の伝統料理を味わえるセットをご用意し、バリエーション豊かな生パスタ料理をご紹介しています。
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パスタの生地
乾燥パスタはイタリアの法律によって「デュラム小麦セモリナ粉100%」を原料とすることが定められています。一方、生パスタは、粉の配合を変えたり水分量を調整することで、食感の違うパスタを作ったり、いろんな形に加工することができます(当店ではイタリア産の小麦粉をブレンドして使っています)。また、その豊富なバリエーションの中でも、このソースにはこのパスタ、という組み合わせが伝統的に決まっているものが多くあります。
古くから、南部一帯では硬質(デュラム)小麦Grano duro(Semola)が栽培され、北部のパダーナ平原では軟質小麦Grano teneroが栽培されていたことから、生パスタは大きく次のようなタイプに分けられます。
○北部:軟質小麦粉+卵・・・柔かい生地で薄く延ばしやすい。シート状に伸ばしてから、切ったり包んだりして作る(平打ちパスタや詰め物パスタが多い)→コシがあって歯切れがよい食感に
○南部:硬質小麦粉+水・・・水で練るとグルテンが出て弾力のある生地に。少量ずつに切り分けてから、手で延ばしたり丸めたりして作る(ショートパスタや太めのパスタが多い) →モチモチした食感で茹でても形が崩れにくい
○中部:硬質小麦粉/軟質小麦粉・・・両タイプの粉が使われ、レシピも形も地域によって様々
生パスタのバリエーション
ここでは、イタリアの伝統的な生パスタのうち、当店が今までに作ったものをご紹介します。(メニューは季節毎に入れ替えるため、すべてのパスタを常時ご用意しているわけではありません。現在のメニューはこちら。)
インスタにて生パスタ作りの動画を公開中
イタリア北部の平野部
平野部では酪農や畜産業が盛んなため、チーズやバターを使ったソースや肉の煮込み系ソースが中心。また、宮廷料理の影響を受けたバリエーション豊かなパスタが受け継がれています。
タリアテッレTagliatelle(エミリア=ロマーニャ州)
卵入り平打ちパスタ。ボロニェーゼ(ボローニャ風ミートソース)にはこれ。
トルテッリ ディ エルベッタ Tortelli di Erbetta(エミリア=ロマーニャ州パルマ)
リコッタチーズとホウレン草を詰めたパスタ。パルミジャーノチーズをたっぷりかけて。
トルテッリ ディ ズッカ Tortelli di Zucca(ロンバルディア州マントヴァ)
特産のカボチャとモスタルダ(マスタード風味の果物のシロップ煮)のペーストを詰めたパスタ。
アニョロッティ ダル プリン Agnolotti dal Plin(ピエモンテ州)
牛肉のローストの詰め物をした小さな詰め物パスタ。溶かしバターソースや肉のソースを合わせます。
アノリーニ Anolini(エミリア=ロマーニャ州)
肉の煮込みとチーズの詰め物をした小さなパスタ。ブイヨンスープに入れて食べる冬の定番料理。
ガルガネッリGarganelli(エミリア=ロマーニャ州)
ペンネ状のショートパスタ。ペッティネという道具を使って作ります。
ファルファッレFarfalle(エミリアロマーニャ州)
ファルファッレ=蝶々の形を模したパスタ。リボンの形がかわいいため乾燥パスタでも人気。
この他にも、カッペレッティCappelletti/ファゴッティーニFagottiniなどがあり、中でも詰め物パスタ(総称ラビオリ)は、各地域(各家庭)で詰める具材も包み方も異なり、違う名前で呼ばれるため、挙げきれないほどの種類があります。
イタリア北部の沿岸部
北部の中でも海に近い地域は魚介系ソース。また古くから海上交易が盛んで、南部の影響を受けたパスタがみられます。
クロッゼッティ Croxetti(リグーリア州)
専用のスタンプ型で丸く抜いて模様を付ける。型はリグーリア州にある小さな村の職人さんから購入。クルミソースやラグーなどを合わせる。
トロフィエ Trofie(リグーリア州)
手のひらで転がしながらねじって作るショートパスタ。インゲン豆とジャガイモを加えたジェノヴェーゼが定番。
トレネッテ trenette(ヴェネト州)
細めの平打ちロングパスタ。ジェノヴェーゼの他、イカスミやビスクソースなどの魚介系ソースとよく合う。
ビーゴリBigoli(ヴェネト州)
トルキオという専用の道具で生地を押し出して作るロングパスタ。魚介系のソース、肉のラグーも合う。
イタリア北部の山岳地帯
小麦が育ちにくい寒冷地ではソバ粉やクリ粉、ジャガイモなどを使うパスタも。また国境を接する地域では隣国の食文化の影響もみられます。
ピッツォッケリ Pizzoccheri(ロンバルディア州ヴァルテリーナ)
ソバ粉を使ったパスタ。地元産のチーズソースにジャガイモとキャベツを加えるのが定番。
チャルソンス Cialsons(フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州カルニア)
ジャガイモとシナモンとスモークチーズを詰めた甘い味付けのパスタ。他にもさまざまなレシピがある。
スパッツリィ Spatzle(トレンティーノ=アルト・アディジェ州)
オーストリア領だったチロル地方の伝統料理。柔かい生地を専用の機械ですりおろすようにして作る。
イタリア中部
季節毎に様々な山の幸や海の幸が採れる地域で、内陸ではオリーブ栽培や畜産業も盛ん。ソースはしっかりした味わい。
フェットゥチーネFettuccine(ラツィオ州)
ローマ周辺の平打ちロングパスタ。チーズ&オイルのソースやクリーム系のソースと合わせて。
パッパルデッレPappardelle(トスカーナ州)
幅の広い平打ちパスタ。食べごたえのあるパスタには濃厚な肉のソースやチーズ系ソースを合わせる。
ピチ/ピンチ Pici/Pinci(トスカーナ州)
手で一本ずつ延ばして作るうどんのような食感のロングパスタ。アリオーネソース(トマト)や肉のソースで。
ウンブリチェッリUmbricelli(ウンブリア州)
手で一本ずつ延ばすセミロングタイプのパスタ。海のないウンブリアらしくキノコや肉の煮込みソースで。
セモリナ粉のニョッキGnocchi di Semola(ラツィオ州)
セモリナ粉とチーズと卵と牛乳で練った生地を丸型で抜き、オーブン焼きしたローマ料理。
イタリア南部
海に囲まれた魚介類が豊富な地域。また温暖なため野菜の栽培も盛ん。地元産のトマトのソースやオリーブオイルに採れたての食材を合わせたシンプルなソースが中心です。
オレッキエッテOrecchiette(プーリア州)
オレッキエ(耳)の形を模したショートパスタ。モチモチ食感がシンプルなソースとよく合います。
カヴァテッリCavatelli(プーリア州)
カヴァーレ(掘る)に由来する、指でくぼみをつけるショートパスタ。
パッケリPaccheri(カンパーニャ州)
筒形に巻いたパスタ。ウサギ肉やトマトのソースに合わせて。
シャラティエッリScialatielli(カンパーニャ州)
生地にハーブと牛乳とペコリーノチーズを練りこんで作るショートパスタ。
マッロレッドゥスMalloreddus(サルデーニャ州)
別名ニョッケッティ・サルディ。ニョッキボードに押し付けながら転がして作る。羊の煮込みソースがよく合う。
サーニェ・ンカンヌラーテ(プーリア州)
細い棒に巻き付けて作るロングパスタ。ねじれたねじれた溝の部分にソースがよく絡みます。
マッケローニ・アッラ・キタッラ(アブルッツォ州)
ギターのような弦を張った道具キタッラ(=ギター)を使って平たく伸ばした生地を切って作るパスタ。